差別発言について、考えたこと
お偉方のヘイトスピーチ(不適切発言、なんてボカさずにあえて「差別発言」「ヘイトスピーチ」と言うよ)を受けて思ったことなどを取材していただきました。有難い。
記事を読みました。いろんな方を取材されていて、中にはしっかり当事者も居て。「鳥取県内で活動している当事者は多分私くらい」なんて言ってるくせに、当事者と出会えていないことが恥ずかしいことこの上ない。「やっぱ居るよね!」と勇気付けられちゃって、本当にええ記事でした。感謝。
ひとり一言ずつで、お話した全部はもちろん乗らなかったので、こちらに書き置きます。
今回のヘイトスピーチのことの流れと、思ったこと
正直この手のことはずーっと前からあって、私の場合は2018年新潮45のS田議員の件から。飽きるほど見てきて、もう怒る気力もない。
どうせ今回も「LGBT気持ち悪い」とか言って、炎上して、何日か後に「誤解を招く表現」とか「当事者を傷付ける意図はなかった」とか「○○党に迷惑をかけて申し訳ない」みたいに、ソウジャナイところに謝罪して、撤回も修正もしないし、ヒアリングや勉強も辞職もする気もないんでしょ?そんで炎上が止まらなければトカゲのしっぽ切りされたりするんでしょ?と思って、早々に情報をシャットアウトした。
ネットニュースに連なるヘイトコメントを1日30分~2時間くらい通報して回って、あとはご自愛に徹することにして、下手くそに逃げ回っていました。
以前は怒ったり悲しくなったり、希死念慮を募らせたりしていたこともあったけれど、私一人がどんなに傷付いても、向こうはそんなこと知らんし知ろうともしないし見たくもないと来たもんだ。そんなの、傷付くだけ勿体ないと、私は捻くれた。
だから、今回取材をしてくださって、メディアで発言する機会があって、本当によかったです。
ヘイトスピーチを食らうことは勿論ある
講演活動をしていて、面と向かっても、自由記載のアンケートでも、ヘイトスピーチを食らうことはまだまだあります。数としてはやっぱりというか、大人の方が多い。でも中学生高校生でも、「こういう病気の人には優しくしようと思った」みたいな、そんなこと講演で一言も言ってないのに~みたいな感想をくれる人もいます。
理解できなくてもいいし、嫌いでもいいし、受け入れられなくてもいい。けど私たち、居るんだもの。居ない事にはしないでほしいし、見ないふりもされたくない。もう居るので。
そしてヘイトスピーチを吹っかけてくる人の中で、「話してみよう」「聞いてみよう」とする姿勢のある人に、私はまだ出会ったことがない。
「気持ち悪い」終わり。「好きに生きれば?」終わり。「あなた方は病気だ」終わり。吐きかけるだけで、その後の私の顔や声なんて見たくも聞きたくもない、という姿勢の人に、向き合い続けるのはキツい。誤解を解くのもきっと難しい。だって向こうに向き合う気がないからね!でもずっと心に溜めおくのも癪だし、私は彼らと向き合ってみたい、それで生み出したのが「講演後のお便り」というわけです。
私は「不寛容に不寛容であらねば」とは思っていない。不寛容な人だって、別に居ていい。私たちだって、不寛容な人に認めてもらわなくたって、もう居るし。
こちらの間口は開いておきますので、と、いつだって思っておりますよ。
特に伝えたいこと(しんどくなっている人へ)
こういうしんどいニュースや出来事にぶつかった時、つらければ無理をしないで距離を取ってください。闘える人が闘うし、矢面に立てる人が立ちます。
たとえば私は、フラワーデモ(性暴力根絶を訴えるデモ)にはしんどくて参加できないけど、在日へのヘイトスピーチに抗議するデモには参加できます。性暴力は自分事だからダメージがデカいんだけど、在日は当事者じゃない分、自分自身は傷付かないので、怒りや悲しみをもって戦えます。他の被差別マイノリティについても同じ。
LGBTに対して、同じように一緒に頑張ってくれる当事者以外の人が居るのも知っているので、大丈夫です。出来る範囲で、できることをしましょう。何より自分を守ることを
優先しましょう。
特に伝えたいこと(LGBT以外の人へ)
知ってほしいです。一緒に怒ったり悲しくなったりしてほしいです。助けてほしいです。
多数決でだいたい決まる(最近なんか上で勝手に決まってることもあるけど)社会の中にあっては、マイノリティは多数決で負け続けます。応援してくれる人が絶対必要です。
まずは知って、応援できるなら応援してください。
鳥取みたいな田舎でも、どんなに小さい社会でも、マイノリティは居ます。
現状は隠した方がマシだから、隠しているだけです。
そして、今LGBTが声をあげていることは、まったくの他人事ではないこともあります。たとえば、同性婚に関する運動では、お偉方は「結婚は男女が子を産み育てるためのものだ」と言っています。子どもを産まない人、産めない人、高齢で結婚を考えている人は直接傷付けられています。
トランスジェンダーの制服やトイレどうする問題も、ユニバーサルデザインの視点で多くの人がより快適になれるチャンスでもあります。
つながってみませんか?
いろいろと書いちゃいましたが、やっぱり私個人がひとりで動けることと言ったら、こまめな通報、署名、寄稿、ブログの投稿など小さなことです。これで社会が変わるなんてミリも思っていません。
が!間口はいつだって開けているつもりですので、話してみたい人がいたら、連絡ください。そのくらいは出来るかもです。